『みんなでハッピーシェア♪
Porittoさつまいも味&栗味新登場!』
「…買わなきゃ」
俺たちの出てるCMだー、なんて見ていた時。
急に立ち上がった空がそんなことを言って寮を出て…出て?
「あれ、空出てっちゃった…?」
「出てったな」
「俺たちのコラボパッケージ…目当てで…?」
「多分?」
千草や藍にぃがそう言うのを聞いて、空が出て行った時の…まま、開けてある扉を見る。
「……俺たちのコラボパッケージって、あれ抽選とかだったような…?」
「…そうだっけ」
「去年まででかなり人気だったから、買い占めとかの防止に…って聞いたような」
「じゃ、すぐ帰って来るな」
そう藍にぃが言った直後。
ものすごい音を立てて2階から何かが落ちる音が聞こえた。
「…空、なわけないし…。
誰だろ」
「浅葱か竜?」
「めちゃくちゃありそう」
「ありそうだな。
ま、気になるなら見て来たら?」
「見てくるー」
バタン、とついでに共有ルームの扉を閉めて。
落ちてきた…おそらく人を確認しに行く。
「…えーっと、浅葱?竜?」
「…いたた…ってあれ、天?」
「……流衣?」
「俺だけど…。
他に誰か探してた?」
「そうじゃないんだけど、上から落ちてくるなら浅葱か竜だと思って」
「…確かに、2人ならありえそう。
…ってそうじゃなかった、空いる?」
「空ならさっき俺たちの出てるCM見てPoritto買いに行ったけど…用事?」
「…やっぱり…。
用事は用事だけど、俺もちょっと出て来るね」
「?
いってらっしゃい?」
「行ってきます!」
そう言って元気よく出て行く流衣。
…この感じだと、浅葱も来たりして…。
ドタンッ
「…ビンゴ〜…って、ほんとに浅葱?!」
「…天か」
「ものすごい音したけど大丈夫?」
「ああ、一応。
流衣…と、空は?」
「その2人が出てくる、ってことはPoritto?
2人とも全力で出てったばっかり……」
「…ありがとう、俺も出てくる」
「…やっぱり…。
あ、空に会ったら俺たちのコラボパッケージは抽選になってるって伝えてくれる?」
「わかった」
「いってらっしゃーい」
バタン
そうして、2人…3人が出て行った後、共有ルームに戻って。
「俺もPoritto買いに行ってこよっかな〜」
なんて呟く。
「買いに行くの?
僕も行こうかな」
「じゃあ藍にぃも……」
「俺は寮で待ってる」
「やっぱり?」
「そりゃまあ、発売日当日だし人多いだろ」
「まあそうなんだけどー、3人に会えるし面白そうかなって」
「じゃ、いってらっしゃい」
「…行ってきまーす」
藍にぃに雑に見送られつつ、寮の外へ。
…思ったより寒かったかも。
「千草、寒くない?」
「ちょっと寒いけど、歩いてたらあったかくなるかもしれないから、大丈夫」
「よし、じゃあ俺も張り切ってあるこーっと!」
AquICE寮近くのスーパーはだいたい人が少ないのでそこへ向かいつつ。
近くのコンビニであったかいものを買って、飲んで。
のんびりと歩いていたところ、見慣れた黒髪の人に出会う。
「あ、天に千草?」
「雨月。
仕事終わり?」
「そうそう、今終わって寮に帰るところ!
2人は買い物?」
「CMでやってたらどんな感じかなーって見たくなって」
「…今の時期、CM……あ、Poritto?
今年はAQUA…天と千草なんだ」
「あったり〜。
そうそう、Poritto。
ちなみに、浅葱と流衣と空も向かってるはずなんだけど見てない?」
「見てない…し、会ってもないんだよね。
俺も一緒に行っていい?」
「もちろん!
あ、寒いしココア飲む?」
「あ、ありがとう。
ちょうど何か買おっかなって思ってて…ってあれ、あの後ろ姿は……」
「春!」
「?
あ、天に千草に…雨月?
みんな揃って買い物?」
「このくらいの時期、天と千草がCMをやった…と来たら?」
「Poritto…かな。
みんなで様子見?」
「様子見!
ってまあ、俺は通りがかってついて来たんだけど」
「…じゃあ、俺も一緒に行っていいかな?
今年は俺たちのコラボパッケージもちょっと出るみたいで気になってて…」
「…それだ!」
「…?」
「さっき、俺たちが出る前に流衣と浅葱、空がPoritto買いに行ってて、なんでかなって思ってたんだよね」
「…ああ、それで…。
数量限定、って書いてあったから、たくさん人がいたらないかもしれないけど…」
「あ、ちなみに天たちのコラボパッケージってどういう抽選方式?」
「えーっと…たくさん買ってレシート撮って当てよう!系?」
「…なるほど。
それは空が向かうわけだね」
「…って、もしかしてこの後数日Poritto大消費会…?」
「だと思う。
俺たちの時はコラボパッケージのだけだったから同じ味だったけど今回は色々買うだろうし安心だよね」
「…うん、多分…?」
「…?」
「空は色々買うと思うけど、流衣と浅葱兄は俺たちのコラボパッケージのものだけ買うと思うから…」
「……あー……」
なんとなく、嫌な予感もしつつスーパーに着いた…ものの。
すでに長蛇の列になっていて、入ることは難しい上に整理券が配られていた。
「…えーっと、どうする?」
「せっかくだし、整理券もらって並んでみる?
流衣や浅葱がいるかも……いた」
「…あ、本当だ」
「あれはこう、バレないようにしてる?
1mmくらい…」
「既にバレて周りがちょっとざわざわしてるよね」
「さすが2人…じゃなくて、ちょっと話しに行かないと!」
…その後、列に並んでいる浅葱と流衣、そしてなぜか先頭にいた空に事情を説明して、なんとか同じ味を大量に買う、ということは防げたのだった。
「…空、いくつ買ったの?」
「当たると信じて20くらい…?」
「…ちなみに、浅葱と流衣は?」
「…(すっ…)」(目を逸らす)
(さっ)
「えーっと、流衣が20で浅葱にいが10…浅葱にいが10…?」
「個数制限があってな…」
「…あーなるほど…。
ってこれ、1人10個までなんだ」
「いや、1人5つまでで流衣に2人目になってもらった」
「…流衣…」
「で、流衣の20も10-10?」
「……はい」
「他の人も買えるように、って個数制限があるんだから、俺たちが買ってたら買えなかった人かわいそうでしょ」
「…すみません」
「まあでもこの味食べてみたかったし、今回は許すってことで」
「…!」
「ただし、来年は制限いっぱいまで買わないこと!」
「……はーい…」
こうして。
今年のPoritto CM騒ぎも終わったのだった。
**
「!!
天と千草のコラボパッケージ当選……!!」
「おめでとう!」
「おめでとう」
なんて会話があの後あったりなかったりしたらしい。
fin.
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