次の日。
晴や祐那、仕事がないメンバーたちと寮の前にいると、聞き慣れた声と共に足音が聞こえて来た。
「晴さーん、迎えに来ました!」
「おかえり」
「!
織君に夏苗君…!」
「今日はボクもいるよ♪」
「ひかる君も…??」
ちらっと悠希を見る晴。
見た感じ、仕事を休んで、とかではないらしいからとりあえず安心して。
…この3人がこれを理由に仕事を休むはずはないと思うけど。
「晴くん、AquICE寮はどうでした?」
「楽しかったです、ものすごく!
普段あんまり喋らない人と話せたし…」
「なんか、それ聞いてたら職業体験とか修学旅行みたいな…」
「まあ、ある意味近いかもね」
「オレも、いつかAquICE寮遊びに行くだけじゃなく泊まろうかな…?」
「好きにしたら?」
「その時はしきくんも一緒に行こうね♪って言うんじゃ…??」
「夏苗、本当に僕がそれを言うと思った?」
「…思ってない、けど、ひかるくんがいたら言うかなって!」
「まあ、ひーがいたら考えてもいいけど」
「よっし、じゃあひかるくんにLEENE……」
楽しそうな織と夏苗を見つつ、後ろで日向ぼっこでも始めそうなくらいぼんやりしてるヒロに声をかける。
「ヒロ、おかえり」
「あ、ただいま…?
s☆e寮って賑やかなんですね」
「その一言だけで何があったかすぐわかるな」
「きっと、夏苗くんが織くんに話しかけて塩対応されてたりひかるくんと夏苗くんがトランプしてたり…!」
「まさにその通りでした…けど、由くんもトランプに混ざってて」
「楽しそう…。
先輩、アタシたちもやりましょう!」
「5人で?」
「いや、もっと大きく…AquICE寮、s☆e寮全てで…!!」
「規模がでかすぎる」
「絶対楽しいですって!
ほらほら、晴くんも楽しそうって顔し……それより先に夏苗くんがこっち見てます!
参加けってーい♪」
「いえーい♪」
「この仲の良さ、向こうで仲良くゲームとかして来たな?」
「実は…♪」
「まあ、祐那はすぐ馴染みそうだな、とは思ったけど…」
と、言いかけて言葉を止めたのはヒロもスッと挙手をしたから。
…混ざったのか…。
「神経衰弱、俺が勝っちゃったんでまたやりたいです」
「…勝っちゃったのか」
「アタシがいた時にもやってたんですけど、ヒロくんほんとに強くて!
なぜかめくったところもめくってないところも分かってるんですよねー…」
「記憶力高そうだしな」
…なんて、会話をしていた頃、AquICE寮メンバーと織、夏苗で何か話をしていたらしく。
「今から、AquICE寮でなんかよくわかんないパーティ開きまーす!
来る人!」
雑な呼びかけにちらほら行きます、と言う声。
何するかも知らないのに参加の声が上がるのはさすがだな。
「あ、ちなみにアタシたちも参加で〜」
「まあ、これから帰るのに参加するもしないもないけど…わざわざ参加しなくてもいいだろ…」
「ひかるくん、雨月くんたちが勝負に勝ったら好きなもの作ってくれるって聞いてつい♪」
「好きなもの…?」
「ほら、お兄さんズで!
食べ物限定かは分かんないんですけど」
「…流衣のアイス、か…」
「あ、ボクが勝ったらジャム入りクッキーで!」
「じゃあ、僕は流衣たちの1番自信があるものにしてもらおうかな」
「オレは〜…竜くんが好きなお菓子食べてみたいなー」
「受けて立つ」
「いやいや竜、そこ勝負じゃないからね…?
って、みんな俺たちのお菓子でいいの?」
流衣がそう聞くと、だいたいの人が頷いて。
…というか、これ全員だろ。
「じゃあ、頑張って作らないとね」
「お兄さんズのお菓子を手にするのは誰か…!なんて…」
「これ、1人しかダメな感じ?」
「ルールはー…言い出した人ってことで、雨月に決めてもらおっか」
「あ、俺?
えーっと…勝負の方法もまだ決めてないんだけど、…うん、決めた!
ヒロさんに勝て!1:1の真剣衰弱大会で!」
「真剣衰弱大会…」
「早速トランプで遊べる時が来たね〜」
「まあ、ヒロとの1:1らしいけどな」
「1:1って勝てるとか負けるとかってことになる…?」
「ルールはざっくり考えたんだけど…。
まず何人かのチームに分かれてもらってそれぞれ戦って、勝者がヒロさんと戦い、勝ったら景品…って感じとか!」
「ちなみに、チーム分けは?」
「ふっふっふ、もうくじ作ってありまーす♪」
「さすが雨月…。
ってあれ、このくじユニットごとじゃないね?」
「ユニットごとだと面白くないかなーと思って、誕生月で分けてみました!」
「ああ、だから桜とかもみじ…」
「最初俺たちからにする?」
「まあ、まだチーム決めだし、パッと決めた方がいいだろうな」
「じゃあー…冷さんから!」
「じゃ、これ」
「次は流衣〜」
「…えーっと…これにしようかな」
「そして竜!」
「適当にこれで」
「俺たちは交互に引く?」
「了解♪」
なんて、スムーズにチーム分けが決まって。
それぞれのチームに分かれて神経衰弱が終わるのに2時間くらいかかった。
「えーっと、順位がこう……。
あ、今勝った人ー」
「はい」
「千草のチームは〜…よし、完成!」
「長かったな」
「まさかのチーム分けになったしチーム戦がまた白熱したからねー…」
「チーム代表vsヒロさんは明日にする?」
「いや、ヒロ相手ならすぐ終わるだろ」
「うーん、じゃあ俺負けてるし夕ご飯の買い出し行って来ちゃおうかな」
「あ、俺も行く行く!
…ちなみに今日の夕飯は…?」
「今日はカレーが食べたい気分だから、多めに作ろうかなって」
「やった、カレー!」
「俺も一緒に行っていい?」
「あれ、春も負けてたんだっけ」
「うん、千草に負けちゃって」
「千草、みんなが間違えるの見て静かに勝ってたしねー…。
さっすが!」
「これなら、ヒロさんにも勝てたりして…」
「じゃあ、ヒロさんと千草の勝負が終わる前に行って来ちゃわないとね」
「あ、じゃあ俺が春たちにLEENEする?」
「あ、いいの?
じゃあよろしく!」
「はーい。
ってもうヒロさんと竜?」
「よろしくね、陽。
…じゃあ、行こうか」
そんな会話をしつつ、流衣たちが買い物に出かけた後。
頑張っていた竜が負け、夏苗も負け、悠希vsヒロ戦になって。
「…ヒロ、ほんとに強いな」
「ヒロさん、さっきからめくってないカードの裏見えてるんじゃないかって感じで全然負けないんだよね…。
おかげで春たちのLEENEも同じ文章に……」
ガチャ
「ただいまー」
「まだ終わってない?」
「ただいま」
「お、いいところに!
今悠希さんと戦ってて…あ」
3人が帰って来た頃、ちょうど最後の4枚…悠希が違う方をめくって終わったところで。
ナイスタイミングというか、なんというか。
「あー、悠希さん惜しい…!!」
「やっぱり、ヒロくんには勝てないですね〜…」
「そんなヒロさんとの最終戦が千草…!」
「頑張れ…!」
みんなが見守る中、よく切ったトランプが並べられて。
事前にじゃんけんで決まっていた通り、千草が先行で始まった。
「!
千草最初から取ってる!」
「…あー、でもヒロさんもなかなか……!」
「ヒロさんの裏見なくてもどこにあるか分かっちゃう力があったら誰も勝てない気がする…」
「まあ、毎回見えてる訳じゃないだろうし…。
あ、ほら」
「千草頑張れ!」
「じゃあおれは負けたのでヒロくん応援しますね。
ヒロくん、頑張ってくださーい」
「ちなみに冷さんはどっちが勝つと思う?」
「…あー、…このまま行くと千草?
でもヒロがまた1組当ててるしな」
「ヒロさんとここまで取り合える千草ってすごいよね」
「チーム戦も白熱してたし、かなり強い方だろうな」
「…はっ、残り4枚…!!」
なんだかんだと話をしていると時間も経つもので。
千草が取ったカードとヒロが取ったカードは僅か2組差。
今は負けているように見えても、次取った方が勝つのは確実。
「さて、どっちが勝つかな」
「…!!
冷さん、あれ!!」
「あー、なるほど」
千草が取ったカードが揃っていて、残りは1組。
合っていたら続けてめくれる、というルールに従っているので、結果は。
「千草の勝ち〜!!
おめでとう!」
「ありがとう」
「まさか、最後ヒロさんが違うのを取るなんて…」
「5戦くらい続けてやってたし、さすがに疲れちゃった…とか?」
「夏苗はすぐ負けてたからそんなに疲れなかったんじゃない?」
「あれはオレがちょっと疲れて…ってそんなにすぐだった…?!」
「すぐだったね」
「そんな…。
ヒロさん、次は勝ちます!!」
「夏苗より悠希さんの方が勝てそうでしょ」
「おれですか?
…じゃあ、ヒロくんまた今度戦いましょうね…!」
「よろしくお願いします?」
「よし、じゃあここからはみんなでカレー作ろう!」
「包丁苦手な人たちはピーラー使って〜…あ、じゃがいもとか洗う担当でも!」
「カレー、祐那さん用に激辛ってルー買って来たんだけど食べられますか?」
「あ、これアタシがよく食べてるやつ…!
ありがとう♪」
「なるほど、辛そう」
「竜、語彙が消えてる。
まあ、もちろん竜はあまく…え、辛口?」
いけると思う、なんて言いながら辛口のカレーを選ぼうとしてる竜。
多分無理だと思う。
「千草千草、にんじんうさぎの形にする?
ハートにする?」
「…ハートで」
「おっけー!
じゃがいも…は形崩れちゃうと困るし、ゴロゴロで〜…」
「天、ごろごろなのは美味しそうだけど、大きさもうちょっと小さくしないと火が通りにくいからね?」
「…はーい。
じゃあ…このくらい?」
「そのくらい!
あとは…にんじんの方抜いて余った方も可愛いからそのまま入れちゃう?」
「入れちゃおう!
えーっと、あとは…お肉の好みある人ー」
「鶏肉豚肉牛肉……野菜だけのもあるのか」
「野菜カレーも美味しそうかなーってね。
藍はどうする?」
「じゃ、野菜で」
「了解♪」
神経衰弱大会以上に賑やかなカレー作りが始まって。
あれこれと材料、レシピを揃え、どんどんと出来ていくカレー。
…なんか1つカレーパスタみたいなのあるな…?
「…よし、全部完成!
お皿と…あ、洗い物やっちゃおうか」
「はーい、俺洗いまーす」
「俺も」
「僕も、手伝う」
「じゃあ、ボクは隣で洗い終わった食器を拭いて片付ける係〜♪」
「それならオレにも出来……「夏苗は机片付けてて」はーい…(´ω`)」
そんなこんなで無事にカレー作り、洗い物とかも終わって。
みんなそれぞれ食べ始めたカレーはどれも美味しかったおかげで席を移動し、カレーの鍋を移動し…賑やかなまま終わったのだった。
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