ゆるラジ*3「アタシたちだってアイドルに!」 / 1

ゆるラジ3つ目の1です。

長くなったので分けました。

タイトルでなんとなく分かる通り、マネージャーたちが出ます。


ガチャ


「〜♪」


バタン


「……?」


もう一度、共有ルームの扉を開けて。

…ものすごく閉めたくなった。


ガチャ


「あ、柳原先輩おはようございまーす!」


「……おはよう。

何してるんだ?」


「なんだと思います?」


「分からないし出来れば巻き込まれたくないから仕事戻って良い?」


「ダメです!

アタシたち5人揃って『Luna♧』なんですから!」


「……Luna♧?」


「はい!」


と、俺たちが話を…全くわからないけど話をしているところに見慣れた2人がやって来た。

…5人の時点でなんとなく予想はしてたけど。


「あ、柳原先輩。

おはようございます」


「柳原先輩!

おはようございます!!」


「おはよう」


とりあえず、挨拶を返し。

ちらっと見たヒロと晴の服はアイドルの衣装っぽかった。

…なんでだ…。


「祐那くん、柳原先輩への説明と勧誘成功した?」


「それが、まだちょっと分かってないみたいで…」


「そりゃ、説明もなしに俺たちはLuna♧って言われても分からないだろ」


「…あ、冷さん」


「…やっぱ悠希もいるのか……」


「おれもよく分かってないんですけど、祐那くんがアイドルをやるって言ってたのでおれたちアイドルらしいですよ〜」


「…あー、今ので全部分かった」


「分かりました?!」


「Luna♧がユニット名」


「はい」


「5人はユニットメンバーでマネージャー全員」


「はい」


「で、俺もそのメンバー…」


「いえ、柳原先輩はリーダーです!」


「よし帰る」


「待って待って、待ってください!

普段リーダーやってるすごい人連れて来たので…!」


「…すごい人?」


パッと頭の中で思い浮かぶリーダーはs☆eを除いてすごいとは言えない気がする。


「じゃーん、夏苗くんでーす!」


「夏苗くんでーす!

みんなでアイドルなんて楽しそうなこと、オレが混ざって良いんですか?」


「もちろんもちろん!

一緒に楽しみましょう!

…あ、マネージャーやってみます?」


「え、いいの?

やるやる!」


「と、いうことで先輩!」


「……。

そこで夏苗連れて来るあたりわりと本気なんだな…」


ちなみに、わりとがついたのは織ではなかったから。

織だったら本気も本気、俺たちはマネージャーに戻れなかったかもしれない。


「本気です、ってことでほら先輩衣装もありますよ〜!」


ハイテンションな祐那に連れて行かれた先は共有ルームの端っこ。

いつの間にか置かれた等身大の鏡と衣装セットがある。

…いつの間に…?


「で、これが俺の衣装ってわけか」


「ですです!

あ、ちなみにリーダーなのでちょっとキラキラしてます!」


キラキラ、という部分がちょっと気になって近づいて見てみると、本当にキラキラしていた。

…後ろで楽しそうにこちらを見ている夏苗をちらっと見る。


「…これ、作ったの由か」


「!

柳原さんなんで…?!」


「いや、他に衣装作れそうなやついないだろ。

普段から作ってるし」


「…はっ、確かに…」


由のことだからこんな遊びでも真剣に作ったんだろう、ものすごいこだわりがありそうな衣装で。


「…じゃ、この衣装のためにちょっと付き合うか…」


「!

ほんとですか?!

じゃあちょっと着てもらって、レッスンしましょう!」


「着てレッスン…?」


「この服、見た目ではわからないんですけどかなり動きやすい作りになってるんです。

このままレッスンもいけますよ!」


「…へー…」


中にもこだわりが詰まってそう。

というか、由はこのレベルをさっと作れるわけじゃないだろうし、どのくらい時間かけて…?


「着替え終わったら言ってくださいね!」


「はいはい」


これも何故か用意されていた着替えスペースで着替える。

…ほんとに、見た目と違って伸びるし動きやすそうな服だな…。


しれっと新人アイドルです、とそのまま出て行けそうな服の完成度に驚きつつ着替えを終える。


「着替え終わっ…」


た、と言う前に飛び込んで来たのはちっちゃい虎…じゃなくて晴。

…目がキラキラを通り越してギラギラしてるかもしれない。


「柳原先輩!

いえリーダー!

かっっこいいです!!!!」


「はいはいありがとう」


「あ、終わりました?

じゃあここ片付けますねー」


さっと仕切りが取られて全員の前へ。

…なんか恥ずかしい気もする。


「柳原さん、アイドルやりません…?」


「やりません」


「あの、ほら、constellationの新人アイドルとかで…!」


「やりません」


「絶対人気出るのに…」


「で、練習曲って?」


「あ、練習曲はないですよ」


「…?」


「アタシたちがやるのは本番の曲だけなので!」


「…まさか?」


「作曲の方々に頑張ってもらいました!

なんとアタシたちで2曲あります!」


「……マジか」


「マジです。

それも、1曲はs☆eから、もう1曲はAquICEからで…」


「この一時で使うだけなのがもったいないくらいだな、もう…」


「ですよねー…。

ってことで、なんと!」


「あ、もういいです」


「なんと、小さめな会場を抑えて!」


「いや嘘だろ」


「ミニミニライブが決定してます!」


「…はあ………」


「柳原さん、疲れてません?

お茶飲みます?」


「めちゃくちゃ疲れてるしお茶はもらう。

ありがとう」


夏苗が持って来てくれたお茶を飲んで一息。

どころかもうこのまま全てを忘れて寝てしまいたい。

…と、ここで大事なことを聞いていないのを思い出した。


「…ミニミニライブ、開催は?」


「なんと!」


「…あー、イヤな予感がする」


「明後日で」

「お疲れ様ー」


「嘘です冗談ですよ!

開催は今週末、場所は椎木公園です!」


「…はー、ほんとに場所まで決まってる…」


この会話の途中でスケジュール管理のアプリを見ても、今週末にLuna♧のライブ、とある。

なんなら今日からずっと仕事の後にレッスンの文字も。


「…明日、aquaのライブあるよな…?」


「ありますね!」


「その後に…?」


「レッスンです!

監督はちゃんとstair☆sに…」


「やっぱ関わって来るのか…!」


「それはもう!

織くんが《僕たちが作った曲をやるのに中途半端なレッスンしてたら許さないから》って伝えて欲しいって言ってました!」


「…あー、結局ガチで本気でやることになるのか、アイドル…」


「頑張りましょう!」


…と、いうことで。

俺たちは、まずAquICEの作曲メンバーが作った曲をかけ、レッスンを開始したのだった。

…ものすごくやめたい。


*次に続く…


次の話(2話)

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