あくいずマネズのゆるっとラジオ、略してゆるラジの1つ目です。
登場はs☆eとAquICE寮から何人か…です!
「夏ももうそろそろ終わりだね〜」
「そうだね。
…ひーは、やりたいこと全部できた?」
「……それが、まだ1つ出来てないことがあって…」
「?
そうなんだ」
「そう、だから、しーくんにも協力して欲しいなって」
「…?
いいけど…何するの?」
「それは、準備の時のお楽しみってことで!
あ、まずこれ買いに行きたいんだけど……」
【s☆e寮】
「…と、いうことで!
第一回s☆e肝試し大会を開催しまーす!」
「わー!」
「さっすが夏苗、ノリが良い〜♪」
「オレはいつでもノリで生きてるから!」
「…で、なんでこんな夕方…というか、そろそろ夜のこの時間に?」
「由くん、肝試しと言ったら夜やるものなんだよ…?」
「いやそれはわかってる。
そうじゃなくて、場所移動するにも時間が遅すぎるんじゃない、ってこと」
「…確かに?」
「肝試しっていうなら暗いところへ行くんだろうし、移動から暗かったら肝試し前に終わりそうでしょ」
「そんな由くんに朗報〜♪」
「?」
「場所はここから移動しません!」
「……?
移動しない、ってここ寮の前だけど」
「寮の前と言ったら…しーくん!」
「そこで僕が説明するんだ?
…肝試しは、寮の中でやるんだよ」
「ってことは、寮の中で飾りつけが…?!
オレ1番!」
「早い早い。
中で悠希さんと晴さんが準備しててくれてるから、まずボクたちで説明して、それからだからね?」
「はーい。
…って、もしかして脅かし役…?」
「か、どうかは入ってからのお楽しみ〜♪
ってことで、説明開始するね!」
・・数分後・・
「…じゃあ、中で幽霊じゃない方のマネージャーを見つけて一緒に出てくれば良いんだ」
「そうそう。
あ、ちなみに準備してる人は2人だけとは限らないからね〜」
「…ちなみに、間違えて幽霊と出て来たら?」
「そしたら…幽霊と一緒にちょっと怖い映画を観てもらいまーす!」
「…ちょっと怖いなら大丈夫かな」
「あ、そうだ。
言い忘れてたけど、幽霊でもマネージャーでもない人と出て来たらまた別のものを観てもらうからお楽しみに〜♪」
「…また別の…?」
「これで説明は終わり?」
「終わり!
あとは順番決めて中に入ってもらって、人を探して出て来るだけ♪」
「ちなみに、僕とひーも後で入るから」
「あ、だからs☆eの?」
「そうらしいね。
…はい、じゃあ1番夏苗だっけ?
入って」
「はーい。
これ、制限時間ないんだよね?」
「ないけど、10分くらいを目安に出て来て」
「了解!
行って来まーす」
ガチャ
バタン
【s☆e寮内】
「…結構雰囲気ある〜♪」
ちょっと怖い雰囲気が作られた寮の中をゆっくりと移動する。
…あ、そういえば見て回る時に明かりがほぼないからスマホで照らして、って言ってたっけ。
ピッ
「…っ、?!」
スマホを操作して、明かりがついた途端、足元に人影が見えて。
…それがちょうどこっちを向いたタイミングで勢いよくその部屋を出た。
…多分、共有ルーム…?
「何かあるなー、とは思ってたけどメイクとか気合い入りすぎてない…?
あれ、祐那さんとかがやってそう…」
独り言を言いながら、階段を登る。
…今のところ、さっきの怪しい人以外人に出会ってないけどほんとに人いる…??
「あ、夏苗くん」
「…?!
ってなんだ、悠希さん…悠希さん…?」
「?
おれがどうかしましたか?」
「もしかして、オレがすぐクリアしないように話しててって言われてる?」
「あ、そうです、そう言われてまして…。
ここ、結構月が綺麗なんですよ〜」
楽しそうな悠希さん。
月明かりで見える顔をじっくり見ると、多分特殊メイクがされていて、ちょっとどころか結構怖い…。
「…えーっと、オレまだ悠希さんにしか会ってないから他行ってきまーす」
「あれ、そうなんですか?
さっき夏苗くんを見たって連絡があったんですけど…」
「誰から?!」
「…ふふ、誰でしょうね?」
「オレもう帰ろうかな…」
「ちなみに、1人で出た場合はミックスジュースらしいですよ」
「…ミックスジュースならおいしそ……」
「竜くん特製の…」
「頑張りまーす…」
竜くんということは、aquaの竜くんもいるってことで…。
めちゃくちゃ甘いジュース、ちょっと気になるけど怖い気もするからまだ探索を続けよう…。
「…あ、ほんとに月が綺麗かも…」
オレたちの部屋がある2階からは見えない角度で月が…見えてるってことは偽物…?
「あ、気づいちゃった?」
「今度は誰…?!」
「どうも、幽霊でーす」
「いやものすっごく天くん!
もしかして他にもAquICE寮の人いる…?」
「いるかも!
ってことで、俺とおしゃべりしない?」
「……。
じゃあ、ちょっとだけ」
「ありがとう、夏苗くん!
何話す?」
「あ、オレが決めて良い感じ?
じゃあ、今日の朝ごはん!」
「…朝ごはん…。
あ、目玉焼きだったかな?
空が珍しく焦がしちゃって…って…はっ!
幽霊ジョークの方が良かったかな?」
「…どっちでも?」
「それにしても、s☆e寮って結構広いから迷っちゃうよねー」
「迷っちゃう…うん、ちょっと分かるかも?
オレも住んでてどこだっけってなる時あるし…ってまさか…」
「大正解、俺今場所間違えてここにいまーす…」
「ちなみにどこの予定で…?」
「えーっと…あ、4階のレッスン室!」
「まだあと2階登って?!」
「だよねー。
っと、よし、時間も良さそうだから玄関まで送るね!」
「…?
あっ、時間忘れてた!!」
ガチャ
「…夏苗、1人で出てきたんだ」
「…いや、もうほんと時間忘れてて…!
天くんと話してると楽しいからつい…」
「…?」
「えっなにこわい…」
「いや、天くんって今日ギリギリ間に合うかどうかって言ってたから…」
「言ってたってことは…」
「誰かが天の真似して夏苗と喋ってた、ってこと?」
「えっこわい…」
「って冗談はさておいて」
「冗談…?
えっ本当に…?
天くんいたよね?!」
「いたいた、いたってことにして。
次、誰行く?」
「じゃあ、俺で」
「はーい、いってらっしゃ〜い♪」
ガチャ
バタン
【s☆e寮内】
「まず、明かりを…っと」
カチッ
念の為、持って来ていたLEDのライトをつける。
…ちょっと眩しすぎたかな…。
「ゆうく…まぶ、眩しいからちょっと下に向けてもらって良い…?」
「あ、すみません」
誰だかがあんまり分からないまま、明かりを下に向ける。
「えーっと、じゃあ改めて。
幽霊です、一緒におしゃべりしない?」
「幽霊」
「…ゆ、幽霊…」
「…そういえば、昨日柳原さんが言ってたプリン買って来てあるんですよね」
「えっほんとに?!
柳原先輩の?!
冷蔵庫?」
「あと1つですよ、確か」
「ありがとう、由君!!」
ダッシュで冷蔵庫へ向かった幽霊…というか晴さん。
…あれでよく幽霊務まったな…なんて。
「次は上に行こうかな」
ゆっくり階段を登っていると、明かりが見えてきたからライトを消して。
…登り切ると、悠希さんがいた。
「あ、由くんこんばんは〜」
「こんばんは」
「おれとおしゃべりします?」
「じゃあ、します。
この上って誰かいますか?」
「いま…せん!
って、おれが言っても意味がないような…」
「…?
悠希さん、知らないんですか?」
「おれにはs☆e寮の…晴くんの情報くらいしか届いてないんです」
「…ってことは、AquICE寮から誰が来てるか分からないってことですか?」
「そんな感じです。
あ、ちなみに幽霊じゃないマネージャーはどこのって決まってないのでおれでも晴くんでもないことがありますよ」
「…やっぱり」
「楽しんでくださいね〜」
「ありがとうございました」
悠希さんからもらった情報を元に、AquICE寮関係の人を探す。
そういえば、夏苗ってどこで天と出会ったんだろう。
「あ、由くんだ」
「これが天…」
「えっなに俺の顔とかに何かついてる?!」
「メイクがついてる」
「ついてるけど…!
って、由くんも俺と喋りたい感じ?」
「いや、先に行くのに聞いておきたいことがあって」
「?」
「AquICE寮の人ってどのくらい今日仕事なのかな、って」
「えーっと…。
aquaは竜さんが喜んで参加してて、雪月が仕事って言ってたかな?
でも多分終わってこっち向かってると思うし…。
ICEは浅葱さん以外参加してるって!
うちは俺と藍にぃと…あ、空は浅葱さんと作曲相談中!」
「…なるほど」
「ってこんなに喋っちゃったけどほんとは言ったってバレちゃダメだと思うから秘密で!」
「了解。
ちなみに、この上って誰がいるかわかる?」
「藍にぃとか雨月とか…?
あ、俺も元々そこだったんだけど迷っちゃって」
「そっか。
頑張って」
「由くんも〜…ってあれ、これセリフ逆…?」
呟きつつ、手を振る天をちらっと見て3階へ。
stair☆sの方、何かあったかな。
階段を登り切ると、すぐに声をかけられる。
…この気軽さは、天の言葉を信じるなら雨月?
「あ、由くんいらっしゃーい…って俺の住んでる寮じゃないんだけど」
「雨月、で合ってる?」
「うん、俺が雨月!
ちなみにここにマネージャーはいないからね!」
「言っちゃって良いんだ?」
「…はっ!」
「ここ、夏苗来た?」
「来てないと思う。
さっきは天と夏苗くんが喋ってるのが聞こえただけで終わっちゃったし…」
「…夏苗…」
「って、それは良いんだけど、ここってstair☆s階だっけ」
「そうだね」
「こんなに窓から月が見えるってちょっと羨ましいかも…」
「AquICE寮の方が月に近いんじゃない?」
「実は、俺の住んでる階は木が邪魔しちゃっててなかなか見えないんだよねー…。
だから、ここで見れて満足!」
「良かったね」
話しつつ、スマホをちらっと見る。
…今で6分くらい。
あと次の階で本物を探して…。
「あ、もう移動する?
いってらっしゃーい」
「…普通に送り出して良いんだ?」
「俺の役割はおしゃべりじゃないしねー。
ほんとは、さっきの声掛けでびっくりさせる予定!」
「…ああ…」
確かに、最初は窓にカーテンがかかってて暗かったかもしれない。
…急に声をかけられたら驚いたのかも。
「多分、この上に藍さんいるからおしゃべり楽しんでね!」
「…しないけど」
「残念!」
楽しそうに言ってまた元の位置に戻っていく雨月を見つつ、また階段を登る。
…次で最後の階だし、本格的なのがあるかも。
と、思いつつ登り切ったところで。
予想外の光景に出会した。
「…で、天はいつ来ると思う?」
「来ないと思います。
ここに来るのを諦めてそう」
「…普通に会話してる…」
「お、やっと来た」
「由、いらっしゃい。
肝試しって感じした?」
「全然。
というより、普通に話してて良いんですか、本物のマネージャー?」
「大丈夫大丈夫。
夏苗が来なくて暇だったし」
「で、俺はおしゃべり要員らしいけど話すことないし、ゴールどうぞ」
「いや俺を差し出すなよ、頑張れ藍」
「正直待ち疲れたし終わったら寝たいんで」
「じゃあ仕方ないな」
「じゃ、柳原さん連れて行きますね」
一声かけると、もうレッスン室に戻ろうとしていた藍さんが軽く手を振る。
…あれでいいのかおしゃべり要員…。
階段を降りつつ、ライトで辺りを照らしていると柳原さんから話しかけられる。
「そういえば、由はどうしてここまで?」
「どうして?」
「ほら、途中で諦めたり出来ただろうし」
「…特に理由はないですけど、1人くらいちゃんとゴールした方が良いかと思って」
「…なるほど。
ちなみに、1階の晴は?」
「多分今頃プリン食べてるので大丈夫だと思います」
「よし」
そんな会話をしつつ、玄関から外に出る。
「由くん?!
おかえり!」
「夏苗、天の時点で出てくるのは早すぎ」
「怒られた?!」
「あはは、まあ夏苗くんだし?
ってことで、由くん無事クリアおめでとう〜!」
「ありがとう。
ちなみに、景品とかは?」
「冷蔵庫にある、」
「…ある…?」
「マスカットパフェ!
サクユマの新作ですっごい美味しいって竜くんから聞いてたから人数分買ってありまーす♪」
「…良かった」
「?」
「じゃあ、次ボクたちの番だけど…。
どっちが先に行く?
しーくん」
「じゃあ、僕で。
ひーは最後に来て」
「おっけ〜♪
じゃあしーくん、いってらっしゃ〜い♪」
ガチャ
バタン
【s☆e寮内】
「暗いのかなと思ってたけどそうでもなさそう」
そう呟きながら、近くの部屋から誰かいないか見ていく。
…確か、由と夏苗の話だと晴さんと悠希さんと天がいるって言ってたような。
「あ、織君?
プリンもう食べちゃったけど…はっ、もしかして織君のプリン…?」
「晴さん、幽霊役放棄してプリン食べてたんですか?」
「由君が柳原先輩が言ってたプリンが冷蔵庫にある、って言っててつい…」
「…ああ、昨日の…」
「昨日の…?
えっもしかしてボクがいない間に食べ…?
柳原先輩とじゃないですよね?!?!」
「僕たち4人で食べましたよ」
「良かった…!
じゃあとりあえずここにはボクしかいないから2階へいってらっしゃーい!」
「あ、はい。
ちなみに、毎回幽霊じゃないマネージャーって変わるんですか?」
「変わる…気もするけど変わらないかも?
ボクはここで最初にみんなをおどかしつつ案内する役だからね!」
「…そうですか」
案内は出来てたかもしれないけど、おどかしつつ、は絶対出来てないと思う。
「ほらほら、早く行かないと時間終わっちゃうし、行って行って!
ついでに柳原先輩と何話したかも詳しく!!!」
「会えたら話しますね」
僕がなかなか動かないのを見て急かす晴さん。
時間は見てるし1分くらいだと思うけど。
「絶対だからね…!
よろしくお願いします!!」
…そんな声を後ろに残して上へ行く。
普段この寮にいてあんまり会って喋れないからあんなに真剣なのかもしれないけど、…隣の寮だし普通に行けばいいのに。
2階に着くと、綺麗な月と特殊メイクの悠希さんがいた。
「あ、織くん。
月が綺麗ですよ〜」
「そうですね。
…ここには悠希さんだけなんですか?」
「ふっふっふ、実はあと1人います!
どこで出会うかはお楽しみなんですけど…」
「じゃあ、こっちの方行ってみます」
「いってらっしゃ〜い」
もう3人目で慣れているのか、気軽に進ませてくれる悠希さんにちょっと安心しつつ、先を進む。
…この先に簡単にマネージャーがいたらいいけど。
「はっ、あの姿は織くん!
3番目は織くんかー」
聞こえた元気な声に誰か当たりをつけつつ、話しかける。
「ここの担当なんだ」
「いや、俺はほんとは別のところなんだけど、迷ったついでにここにいます!」
「そんなに迷う?」
「…迷わない!
全く迷わないし月も綺麗だなーとは思うけどそんなにずっと見てられない!」
「まあ、天ならそうだね」
「ってことで、俺のほんとの目的はここでみんなを時間切れにさせることなんだけど…。
織くんすぐ次行きそう」
「分かってるなら、もう話は終わりで良い?」
「待って、時間そんなに取らせないから1つだけ!」
「?」
「実は、さっきまでは何も知らない2人だったから単純に時間切れ担当だったんだけど、ひかるくんと織くんの時はちょっと違う目的もあって…」
「…あって?」
「なんと、俺のクイズに答えられたらマネージャーのいる階を教えちゃいます!」
「地道に1階ずつ探すから大丈夫」
「そんな反応が返ってくるとは思わなかった…!
ほんとにいいの?
俺の問題結構楽しいけど?!」
「大丈夫」
「…じゃあ、次いってらっしゃい…」
「きっと次に来るひーならクイズに付き合ってくれるんじゃない?」
「そうかも!確かに!
それ期待して待ってようかな!」
「頑張って」
楽しそうに手を振る天に軽く手を振り返して先に進む。
…今が2階で5分…。
ちょっと急ごうかな。
「…わっ!」
階段を登り切ると、暗いところから急に驚かされる。
…まあ、僕は分かってたから驚かないけど…。
「雨月なら、やると思った」
「あれ、俺だって気づいてる…?!
織くんどの辺で…?」
「最初にアホ毛で」
「くっ、でっかいアホ毛が…!」
「…それで、ここにはマネージャーは?」
「素直に答えると思う?
知りたかったら俺のクイズに……」
「じゃあ、次に行くね」
「待って待って」
「もう結構時間経ってるし、早く進みたいから」
「…そうだと思ったけど…。
ここにマネージャーがいたら戻って来ることになるよ?」
「まあ、なったらなったで」
「…じゃあ、いってらっしゃい!」
「戻って来たらまたよろしく」
「はーい」
ちょっとしゅんとした雨月にそんな言葉をかけて次へ。
…そろそろ居てくれると良いんだけど。
階段を登り切って、4階。
レッスン室の中だったらちょっと面倒…。
「…で…あ、次の人?
織か」
「おめでとう」
「…普通に喋ってて良いんですか?」
「隠れろとも逃げろとも言われてないし、人が2人もいるなら喋ってた方がいいだろ」
「誰もここに来ない可能性もあるしな」
「…ってことは、夏苗は来なかったんですね」
「正解。
天のとこ、…2階?とかだったな」
「…夏苗…」
「ってことで、俺連れてって良いけど」
「…けど?」
「最後ばっかりはクイズ受けてもらおうか」
「どんなクイズなんですか」
「あー、何にしよう、藍なんかある?」
「そこで俺に?
…今日の月は満月かどうか、とか」
「じゃ、それで」
「満月じゃないですよね。
さっき欠けてました」
「はい、正解。
じゃ、どうぞ」
「…これ、やる意味ありますか?」
「天たちからのLEENEで1回もクイズ受けてもらえなかったって言われてなんとなくやっただけだからな」
「じゃあ、次は多分やらなくて済みますね」
「そう願ってる。
ってことで織、あと2分だから」
「分かってます」
ゆっくり降りるとぎりぎり時間切れになるかもしれない。
少し急ぎつつ階段を降りていく。
「…そういえば」
「なんですか?」
「晴って何してた?」
「…?
晴さんならプリンを食べ終えて普通に話をしてましたけど…」
「…じゃ、さらに急いだ方がいいな」
「?」
「多分、晴なら出る直前話しかけてくるだろ」
「…ああ…」
「で、多分タイムオーバー」
「急ぎます」
確かに、1階を通った時に柳原さんの話をしていた気がする。
…本人が通ったら、さすがに時間がなくなるかも。
「…1階についた、けどなんもないな?」
「じゃあこのまま出ましょう」
と、玄関を開けようとした時、後ろから走ってくる音が聞こえる。
…間違いなく晴さん、だろうけど。
僕たちまであと一歩、というところで玄関を開けて、なんとかセーフ。
…時間的にも、間に合ったと思う。
バタン
「おかえり、しーくん!」
「ただいま、ひー」
「で、時間は?」
「えーっと…。
うん、9分8秒!
クリアでーす!」
「やっぱり、最後捕まってたら間に合わなかったんだ」
「…捕まってたらってそんなホラーな状況あったっけ…?」
「…夏苗は1人で出たから…」
「俺も別に追いかけられてはなかったですよ」
「由の場合は追いかける相手がプリン食べてたでしょ」
「…ああ、晴さん」
「ま、そんなわけだな。
ひかるが来る前にまた戻っとくから」
「お疲れ様でーす」
「…ひー、準備はいい?」
「もちろん!
誰がいるのかなーとかどんな風におどかしてくれるのかなーとかもう楽しみ♪」
「じゃあ、いってらっしゃい」
「行って来ます!」
ガチャ
バタン
【s☆e寮内】
「まず、ライトがあった方がいいかな〜」
さっき由くんから借りておいたライトをつける。
「…ひかる君いらっしゃ〜い」
「わ、晴さん?
…疲れてません?」
「さっき全力疾走した後だからねー…」
「あはは、お疲れ様でーす」
「……」
「……」
「…」
「…?
晴さん?」
「織君とかだと、先に行きますってすぐ言うから何話そうかなって思っちゃって」
「…あ、そっかここで終わりじゃないんだよね。
先に行きます!」
「頑張ってね!
柳原先輩によろしく!」
「はーい」
晴さんに手を振りつつ、階段を登る。
…この階段、ゆっくり登るにはいいけど追いかけられたら登りにくいかも。
そんなことを思いつつ、2階へ。
誰がいるかな〜。
「あ、ひかるくんですか?
ようこそ2階へ〜」
「あ、悠希さん」
「おれと月見ます?
綺麗ですよ」
「ほんとだ。
いつも見てるけど、今日の月はいつもより綺麗かも」
「…ひかるくんとこうしてゆっくり喋るのは結構久しぶりですね」
「確かに。
いつもしーくんがいたし、夏苗くんや由くんもいるしね〜」
「また、この肝試し大会が終わった後にでもご飯行きましょうか」
「行きます!
悠希さんと食べに行きたいイタリアンのお店があって〜…」
「ふふ、楽しみにしてますね」
「っと、そうだった、時間時間…。
また後でたくさん話そうね♪」
「はい」
悠希さんと別れて、奥へ。
…よく考えたらさっきの悠希さん、特殊メイクしてたかも?
「ひーかーるーくーん!」
「わー、天!」
「久しぶり!」
「久しぶり〜。
元気にしてた?」
「もちろん!
俺はいつでも元気!
まあ今は迷ってここにいるけど…」
「あれ、ここって迷うほど広かったっけ…?」
「さすがstair☆s!
織くんもさっき同じこと言ってて」
「やっぱり。
しーくんとボクはいつでも繋がってるからね♪」
「織くんとひかるくん、実は前世で双子だった…とか!」
「そうだったら嬉しいな。
織くんと生まれた時から一緒ってことだし!」
「…っと、そうだった。
ここでクイズです!」
「…クイズ?」
「織くんの時は受けてもらえなかったんだけど、ひかるくんなら、って思って」
「もちろん、受けるよ!
どんなクイズ?」
「あー、えっと…。
…考えてなかった!」
「何か、思いついたことからクイズに出来るものがあるかも」
「…えーっと、あ、月が綺麗ってところからいこう!
今年の十五夜はいつでしょうか!」
「…えーっと…中秋の明月だから…。
…9月29日!」
「待ってね、調べる!
…正解!」
「やった♪」
「よく分かったね?」
「実は、この間綺麗な満月だったからしーくんとその話してたんだよね〜」
「さっすが…。
ってことで、正解の特典があります!」
「なになに?」
「なんと、ひかるくんが探してる幽霊じゃないマネージャーがどこにいるかを教えちゃいまーす!」
「結構すごい特典なんだね?」
「織くんにはこれを言ったけど断られちゃったから言えて嬉しい!」
「そっか、ちょっとしーくんらしいかも」
「それで、マネージャーの場所だけど…。
4階です!」
「4階…ってことは、ここからあと2階?」
「そう!
頑張って!」
「はーい」
クイズが出せて満足したのか、思いっきり手を振ってくれる天に気持ちだけは同じくらい込めて、軽く手を振る。
…4階ってことは、ちょっと急がないといけないかな?
階段を登って3階。
さっきは明るかったんだ、と気がついてライトをつける直前。
誰かが近くに来ていることに気づく。
「わっ!」
「…わー!」
気づいたけど、その相手が驚くのを期待してたからちょっとだけ驚くふりをして。
…声をかける。
「雨月?」
「正解!
ひかるくん、ようこそ3階へ!」
「ちなみに、今のしーくんは?」
「全然驚いてくれなかったんだよね〜…。
クイズも受けてくれなくて…って、もしかしてひかるくん天のクイズ受けて来た?」
「受けて来ちゃった」
「正解…?」
「しちゃった♪」
「ああ〜…」
「ってことは特典は同じかな?」
「同じ!
って言っても4階ならこの上なだけだけど」
「そっか、ここ3階だしね」
「そうそう。
ってことで、実はここには俺しかいないから4階へいってらっしゃい!」
「はーい、またね」
「肝試し大会終わったらまたs☆e寮遊びに行くね!」
「待ってまーす♪」
雨月に手を振って4階へ。
…レッスン室があるし、ちょっと見つけるの大変なのかも。
と、思いながら登り切ると、話し声が聞こえて来た。
「…この後予定なかったらちょっと出かけない?」
「あのメンバーだし、どうせみんなでご飯になると思いますけど」
「…あー、だよなぁ…。
っと、次か」
「はい、おめでとう」
「…えっと、普通に喋ってるんだ?」
「隠れても逃げても〜以下略」
「…略?」
「柳原さん、織の時に話したからって略さないでください」
「めんどくさくて」
「…つまり?」
「来るか来ないか分からない人を待ってて暇だから喋ってた」
「…なるほど」
「ま、でも時間もぎりぎりだろうし?
早めにゴールした方がいいと思うぞ」
「…時間見てなかったかも。
…えーっと…残り、」
「1分半」
「1分…柳原さん走れます?」
「もちろん、無理」
「じゃあボクが引っ張って行きまーす。
藍くん、またね♪」
「ま、頑張れー」
残り時間が少ない、と気づいてすぐ階段を駆け降りる。
…追いかけられたりはしてないけど急ぐことにはなっちゃったな。
「あ、そうだ。
ひかる、晴は?」
「…あ、多分普通に喋ってたので追いかけてくる…かも?」
「…やっぱりか。
織の時はぎりぎりで扉開けてたけど」
「最後の幽霊が最初の幽霊の晴さん、ってなんかちょっと面白いですよね♪」
「面白いは面白いけど、本気出したら追いつかれるからな?」
「頑張りまーす」
と、会話をしながら1階に。
見た感じ、いなさそうだけど…。
ちらっ…
さっ…
ちらっ…
「…すっごいちらちら見てるのが晴さん…?」
「だろうな。
じゃ、出るか」
ガチャ
予想外の行動で、何故か柳原さんが扉を開けてゴール。
…これ、ボクがゴールしたことになる…のかな?
「おかえり、ひー」
「ただいま、しーくん!」
パンッ
無事、2人ともクリアをハイタッチでお祝い。
いつもより、いい音が鳴った気がした。
「ってことは、成功3人失敗1人で…。
食べられないのは夏苗だけ、と」
「…オレの分は…誰が食べるんですか!」
「ゴールの鍵だし柳原さん?」
「じゃ、夏苗の分は柳原さんで」
「…それで、オレは竜の…ってあれ、竜そういえばいなかったような…?」
「僕たちのときもいなかったね」
「そういえば…!
仕事だったっけ?」
「竜なら最初から共有ルームでミックスジュース作りしてたと思うけど」
「…でも物音はしてなかった…ような?」
「じゃ、場所移して作業でもしてたか」
「…すごいありそう…」
「ってことでまあ、ミックスジュースは出来てるから、夏苗」
「…見た目からして甘そうというか匂いがもうすごい甘い…!
これ、中身は…?」
「ま、飲んでからのお楽しみで。
竜が作ったんだし飲めなくはないだろ、たぶん」
「…多分…?
まあもうしょうがない、美味しいと信じていただきます!」
ごくごく
「…っ、あまっ!!!!
砂糖飲んでるみたいっていうかもう砂糖…?」
「で、後から?」
「フルーツ!
みかんとかりんごとかバナナとか、確かにこれはミックスジュース…!
ってあれ、竜くん?」
「作ったの飲む瞬間にいた方がいいとか言われれて」
「俺が連れてきた」
「ちょっと、感想言う前にいや言っちゃったけど水もらっていい…?」
「はい」
「早い!」
「どうせ水が必要になると思って持って来てるから」
「ありがとう!
…っ、はー、やっと喉がさっぱりした気がする!
いや後味で言えば良かったんだけど」
「砂糖、はちみつ、オリゴ糖と各種果物の入った特製シロップ…に、果物追加して作ったジュースだからな」
「あれ、じゃあ意外にフルーツたっぷり…?」
「まあ、多分」
「じゃあちょっと最後まで飲んでみようかな」
「で、こっちは成功の景品、マスカットパフェ。
ちなみにそこでめちゃくちゃ羨ましい、って顔してる竜にはAquICE寮冷蔵庫の中のもの景品になってるから」
「帰る」
「はいはい、お疲れ。
景品って書いてないやつは雨月たちへの景品とお土産だから食うなよー」
「いただきまーす!」
「いただきます」
「いただきます。
…夏苗、近い」
「いやだって美味しそうで…!
サクユマの期間限定マスカットパフェ…」
「帰りに自分で買ったら?」
「…景品でみんなと食べるのが特別感があっていいんだよ…!」
「じゃ、そこで見てて」
「…はーい…」
「ところで、流衣って今日仕事なかったはずだけど参加してなかったね?」
「あっ」
「…?」
「いや、流衣、暗いところとホラーと虫が苦手だから置いて来るのを忘れてた」
「…置いて来るのを、ってことは…?」
「多分、中に」
その後、慌てて全員で電気をつけて捜索したところ、共有ルームでちょっと泣きそう、いや泣いていた流衣を見つけたのだった。
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