「あ、冷さんそれもうちょっと小さめで」
「…鍋で…?」
「鍋だからってみんな大きくしてたら入らなくなっちゃうでしょ。
…それは大きめで…!」
流衣の手伝いをする、と始めたは良いものの。
普段料理関係は任せていたから全く手伝いにならない。
…というか。
「〜♪
あ、流衣こっち準備終わったよ」
「ありがとう、雨月!
あ、天そっちはそのくらいで」
「了解ー」
普段から手伝ってるっぽい雨月、天よりも出来てない。
…もうちょっと、料理とかするか……。
「はい、冷さんお疲れ様!
あとは座ってて!
天と雨月もありがとう」
「はーい」
「…ああ…」
そう言って、奏と続きをやり始めた流衣を見つつ。
楽しそうに遊ぶ晴たちを見ていた。
…ほんとに子供みたいだな…。
ガチャ
「ただいま」
「あ、おかえりー」
「藍君、お邪魔してまーす」
「あー、いらっしゃい晴さん」
「疲れてるな」
「それはまあ。
冷さんこそ」
「まあ、俺の方は色々あって。
それより、あとのメンバーは?」
「陽と春はもう少し長引くっぽい。
あと千草はコンビニ」
「了解」
知ってるだろうな、と思って藍に聞いたら予想通り。
…春と陽がちょっと遅くなるくらいなら大丈夫か。
「じゃ、詳しい話は夕飯の後にするか」
「…?
ああ」
「あそこに晴がいる理由」
「…いつの間に…?」
「今日の昼あたりから」
「…頑張ってください」
「…ああ…」
事情はあんまり…というか全く知らない藍でもああ言うくらいだし、晴がここにいることの大変さはもしかしたら全員分かってるのかもしれない。
…竜は除いて。
「藍にぃおかえりー」
「ただいま…って天、晴さんと遊ぶにしてももうちょっとこう…」
「ババ抜き藍にぃもやる?」
「いや、やらない」
「えー…」
「それより、晴さんいるなら確認したいことがあるんですけど」
「お、なになに?」
「この間のライブの時の…」
「あ、あれ?
藍君が出来そうならこう…」
藍と晴が相談をしつつ共有ルームから移動し始めた時。
急に扉が開いて。
ガチャッ
「先輩います?」
「あれ、祐那君?」
「あ、いたいた。
アタシもこっちに戻ってくる事になったので、よろしくお願いしまーす♪」
「…ってことは、今s☆e寮にヒロが1人?」
「そうそう…あ、でも代わりに春くん陽くんと千草くんが遊びに行ってるみたいで」
「これはまた面白い交換に…」
「だから帰って来てなかったのか」
「あ、ちゃんとアタシも夕飯の手伝いするんで!
今日はお鍋?」
「お鍋でーす。
じゃあ、祐那さんには胡麻豆乳の方を任せちゃおうかな」
「了解!
お肉は鶏?」
「鶏で!
あ、あと奏と空にもちょっと手伝ってもらって…。
今日はパーティっぽく4つの味にしようかなーと思ってます!」
「おおー、楽しみ!
あ、藍と晴さんレッスン室行くの?」
「あー、その予定だったけど、鍋ならここで話して後で行くかな」
「じゃあ、実際に動くのはご飯の後で!
…ってそうだ藍君、先に着替えたりして来たら?」
「ああ、そうする」
藍が共有ルームを出た後、今いるメンバーで締めは何が良いかの話し合いが始まった。
「胡麻豆乳はカルボナーラがおすすめ、って書いてあるからとりあえずその通りにするとして…。
寄せ鍋はラーメン?」
「雑炊とかもいいな」
「4つあると雑炊もラーメンもみんな出来そうじゃない?
あと…」
「うどん入れちゃうとか。
はっ、キムチうどん…」
「それも美味しそうだね。
じゃあうどんとラーメン、カルボナーラに雑炊…って麺類が多いけど」
「鍋の〆って色々ありそうで麺類多いよな。
ラーメンが1番何にでも合いそう」
「確かに。
食べたことないし、カルボナーラ楽しみ!」
「どんな味になるんだろうね」
「って、なんとなく〆が気になるけどメインの鍋の方も楽しまないと!」
「そうだね」
「よし、じゃあ仕上げして、10分くらいしたら出来るからね」
「はーい」
各々、準備をしたり仕上げに取り掛かったり。
人数多くてもこういうところはみんなでやるのがすごいところだな。
「冷さん、こっちちょっと手伝っ…あ、空それ入れ忘れてる…!」
「あ、ほんとだ。
えーっと、この鍋だよね?」
「そうそう。
やっぱりキムチにニラ…って豆腐…!
お肉ももうちょっとあった方が良い?」
「1つはしゃぶしゃぶっぽい感じだし、足りなかったらその時追加したら良いんじゃないかな?」
「了解!
…じゃあ、出来てるのから持って行って…」
「流衣、場所空いたよ」
「おっけー。
しゃぶしゃぶの方いけそうだから持ってくね」
「はーい」
料理担当の流衣、空、奏…と祐那の4人が鍋を見て、他のメンバーが机を出したり片付けたりして。
ドタバタしつつ、夕飯の準備が終わった。
「各自、箸と器持って…いただきます!」
「いただきまーす」
「俺どれからにしよっかなー」
「胡麻豆乳、豆腐入ってるんだ」
「どれも豆腐が合いそうだし、ちょっと多めに買っちゃったからね!
みんなに行き渡るくらいはあるはず……竜、これ取る?」
「…ああ」
「じゃあ野菜も入れて…あ、お肉ちょうど良さそうなのあるから…はい」
「ありがと」
「先輩どれ食べます?」
「とりあえず、目の前にあるやつ。
…豆腐入れたの流衣だと思うから言うけど、キムチのとこ多くないか?」
「キムチが1番豆腐美味しいと思ってるから!」
「あー、そう」
「雪月、寄せ鍋の鮭いる?」
「うん、食べようかな。
天はこっちの鶏肉いる?」
「食べる!
あとはー…みんなちょっとずつ取ろっかな…!」
「空の方、野菜ばっかり取れてない?」
「俺、鍋は野菜から食べたい派だから大丈夫だよ。
…どれも美味しい…」
「やっぱ、この人数で食べると減りが早いな」
「食べる人は結構食べるからねー。
浅葱、この辺の肉も食べる?」
「ああ、ありがとう」
「陽がいればトマト鍋もやったんだけど…。
あ、晴さん俺取りますよ」
「ありがとう、奏君!
じゃあキムチの野菜とお肉と…豆腐で!」
「はーい」
賑やかすぎるメンバーと話をしつつ食べて、たまに肉や野菜を追加して。
4種全部を満遍なく…とはいかないものの、だいたい全部の味を食べ終えた頃。
「そろそろ〆でいいかな?」
「賛成!」
「胡麻豆乳はカルボナーラ作るから一旦移動させて…。
寄せ鍋が雑炊で、キムチがうどんだっけ」
「しゃぶしゃぶの方はラーメンで良いかな?」
「ラーメンで!」
「あ、寄せ鍋雑炊にするならちょっと野菜とか足す?」
「そうだね。
全体的に野菜も肉も足して…。
あ、デザートもあるからね!」
「待ってる」
「さすが竜、秒で反応した…」
「ちなみにデザートってサクユマの?」
「も、あるけど俺たちが作ったのもあります!」
「…俺、さっき冷蔵庫ちらっと見ちゃったんだけど」
「何があった」
「え、えーっと…プリン?」
「プリン…」
「竜の希望に沿ってたみたいだね」
「もしかして、デザート作ってたのって晴さん歓迎パーティの?」
「予定でね。
もうちょっと長くいてくれたら凝ったものとかも作れたんだけど…」
「あ、ボクのために…?
ありがとう、流衣君!」
「せっかくうちに来てくれたんだし、美味しいものたくさん食べてもらいたいからね」
「楽しみに待ってまーす!」
「…あ、ちょうど〆の方も出来たから持ってくね。
さっきと場所変える?」
「じゃあ俺キムチの前〜」
「じゃ、俺は胡麻豆乳で」
「…ボクもキムチで!」
「キムチが人気だから、俺はしゃぶしゃぶの前にしようかな」
「じゃあ俺胡麻豆乳!」
「アタシは寄せ鍋で〜♪」
「って、突っ込み忘れたけどみんなが移動するんだね?」
「その方が席替えみたいで楽しそうだったから!」
「…確かに」
「じゃあ、持って行くね」
「俺は空いたところ座るから好きに座ってて!」
「了解」
「さっき胡麻豆乳がここで、キムチがこっち…ここ寄せ鍋かな?」
「じゃあしゃぶしゃぶがここで…。
うん、大丈夫そうかな」
「よし、じゃあ〆も食べよう!」
「いただきます!
…って、雑炊とかみんな取るなら器分けた方がいい?」
「レンゲも持ってくるか」
「じゃん、人数分もう持って来てまーす」
「さすが流衣〜♪」
「取れないのはさっきと同じで前にいる人に取ってもらう形で…」
「おっけー。
あ、じゃあ俺さっそく寄せ鍋の食べようかな」
「寄せ鍋ね、了解♪」
「もういっそ全種ちょっとずつ取っておく?
食べてからお気に入りのところに行くって形で」
「それ良いかも!
…えーっと、俺今キムチとしゃぶしゃぶの食べてるから…寄せ鍋と胡麻豆乳くださーい」
「はーい。
アタシはしゃぶしゃぶのと…キムチは多めで♪」
「じゃあ、俺祐那さんの分取りますね。
俺のは…あ、空ありがとう」
「…これでだいたいみんなに渡ってる?」
「……どれも美味しくて悩む…!
もう全部ちょっとずつを繰り返そうかな…」
「キムチで」
「俺もキムチかなー」
「俺はしゃぶしゃぶ好きだった!」
「ボクは胡麻豆乳好きかも。
先輩の取りますか?!」
「いや、大丈夫。
俺は寄せ鍋かな」
「ああ、俺も」
「俺は胡麻豆乳…って、これもう自由に移動した方が良くないか?」
「あはは、確かに…。
中身終わったらまた言ってね」
「了解!」
なんて、みんなが好きに移動しつつ食べるとあっという間で。
麺類が多かったからか、伸びる前に、とちょっとペースが早めに終わっていった気がする。
「じゃあ今度は俺たちが片付けする!」
「流衣たちは先にデザートとか食べ…てたら歓迎会にならないか。
ちょっと休んでて!」
「はーい、ありがとう」
「あ、祐那さん、この間にちょっと相談があるんですけど…」
「お、なになに?
なんでも聞くよ〜」
「ありがとうございます」
「柳原先輩、トランプしません?」
「2人でって言うとスピード、とか?」
「とか!
先輩に勝ちたくてボク練習してたんですよ…!」
「へー、じゃあやるか」
「じゃ、俺見てる」
「いや、どうせなら隣で俺たちもやろう」
「…藍、トランプで勝ってもデザートは譲らないからな…?」
「そこ心配するの、竜だけな気が…。
じゃあ俺審判…?役で」
「じゃあ俺も!
藍にぃと竜チームの方!」
「よし。
まずトランプの色分けして…」
予想以上に白熱したスピードの勝負は何度やっても大盛り上がりで。
結果、俺と藍がそれぞれ2勝したところで他のメンバーも参加して別のゲームが始まった。
「……オセロってどうして勝てる!って思うと負けるんだろ…」
「難しいよね」
「ふっふーん、俺2勝!
デザート権はもらった…!」
「天のは戦った相手が相手だからな?
次俺とやるか」
「藍にぃとやって勝てた気がしないんだけど…!」
「…竜、ババ持ってるな?」
「…持ってない」
「…なんで2枚で持ってないって言えるんだよ」
「どっちが勝つかな〜♪」
「頑張れ竜…!」
そうして、みんながデザートのことを忘れかけた頃、竜の負けが決まってデザートタイムになった。
「これはまさかサクユマのちょっと豪華なベリープリン…?!」
「たまたまサクユマに行ったらあってね、買っちゃいました♪」
「…美味い…」
「デザート権1つ失った竜が味わって食べてる…。
まさか、あそこで冷さんが3引くなんて思ってなかったなー」
「いつの間にかデザートをかけての勝負になってたしな」
「あ、もちろん晴さんには3つのデザート権あるからね?
好きなの食べて♪」
「…じゃあ、先輩と同じザッハトルテ…いや、でも桃のムースも気になる…!」
「あはは、好きに選んでね」
「…えっと、竜の視線が…」
「竜は勝手にデザート権かけて勝負しただけだし、気にしないで食べて食べて♪」
「あそこで右を選ばなければ……」
「まあまあ竜、また作るから」
「!
クッキーも美味しい…!」
「あ、良かった。
それ、ジャムがなかったから飴で試してみたんだよね」
「あ、だから食感がちょっと変わってるんだ?
マシュマロのケーキも美味しい……」
「…AquICE寮の料理担当って、ほんとにすごいんですね……」
「俺で良ければ今度s☆e寮で料理会やります?」
「お願いします!」
「あそこは料理出来る人少ないっけ?」
「出来なくはないとは思うけど、ここまで作れる人がいないっていうか…。
すごすぎる」
「あはは、そんな褒められると照れちゃうんだけど…。
あ、料理会は俺も呼んでね」
「もちろん。
お兄さんズ全員で行こうね」
「…そういえば、s☆e寮ってほんとにわたあめ器2つあるの?」
「あるんだよね〜…。
悠希先輩がこの前買ってき……あれ、今3つ…?」
「増えてるんだ…」
「わたあめが食べたい時はぜひs☆e寮に!」
「お祭りじゃなくても食べ放題…」
「さっそく竜が釣られてる」
「また今度遊びに行こうね…ってあ」
「?」
「春たちからLEENEが来てて」
「なんてなんて?」
「こっちは枕投げやってます、って」
「s☆e寮で枕投げ…」
「ヒロさん、やってみたかった…とか?」
「いや、言い出したのは陽みたい」
「それでみんなで…って感じか」
「景品はわたあめ1週間分…ってこれ余ってる…?」
ガタッ…
「竜、ストップストップ、混ざりに行かなくて良いから…!!」
「わたあめ、余ってるならもらってくるくらい…」
「そんなにあってもしぼんじゃうでしょ!」
「……確かに、いや食べ切る」
「まあ竜なら食べ切れそうだけど…。
とりあえず、混ざりに行くのはまた今度!
…こっちはこっちで何かする?」
「さっきトランプやってたし、その話しといたら?」
「あ、そうだね。
こっちはトランプやってたよ…っと…あ、鍋の話もしとこう」
「陽がトマト鍋?って聞いてるんだけど、今度オムライス作ってあげようかな…」
「そういえば陽、最近食べてなくて食べたいって言ってたからね…」
「じゃ、陽たち帰って来てからのメニューはオムライスで決定…ってそうじゃなかった!」
「晴さんどこで寝る?」
「柳原先輩と同室で!!」
「却下、廊下で寝れば良いんじゃないか?」
「冷たい…!!」
「まあ、そうなるよね。
…ヒロさんの部屋とか?」
「とりあえず本人に確認取っておくか。
…2つ返事で許可取れたな」
「さすが…」
「じゃ、ヒロさんの部屋ってことで…。
あと何かやることある?」
「特に…あ、待って1つあったかも」
「大事な用事?」
「いや、そこまでじゃないんだけど…晴さんに寮案内した時に落とし物見つけて」
「落とし物…?」
「楽譜だったら竜か浅葱だと思うけど…」
「あ、そうじゃなくて。
それもあったけど」
「あったんだ」
「これ、なんだよね…」
「……これって箱…?」
*次に続く…
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