s☆e寮でのんびりお菓子作りなミニ会話です
「材料よーし、道具よし!」
「ひー、レシピは?」
「えーっと、よし!
さつまいもタルトにスイートポテト、さつまいもの蒸しパンに〜」
「栗きんとん?」
「そう、栗きんとん……って手作り出来るの?」
「レシピがあるんだし、出来ないことはないと思うけど…」
「…けど?」
「AquICE寮から流衣さんとかに来てもらわないと難しいかもね」
「…料理担当、かー…」
秋の始まり、さつまいもと栗を前にしーくんと話しているのは今日作るおやつのこと。
せっかくもらった美味しそうなお芋と栗を何かに使いたい!ってレシピを印刷したは良いけど何にするかを迷っていて。
「栗きんとんは難しくても、他は出来るんじゃない?
蒸しパンとか、タルトとか」
「はっ、さつまいもってクッキーあるかな?」
「…あるかもね」
「調べて作れそうなら追加しよう!」
「クッキーなら型とかあった方がいいかな」
ボクがレシピを探している間、型を探してくれているしーくん。
…えーっと、レシピ、レシピ…あ、これが分かりやすいかな?
「今日はクッキーと蒸しパン作ろっか」
「うん」
「じゃあ、とりあえずさつまいもを洗って……」
と、言いかけた時、共有ルームの扉が開く音がして。
「…あれ、2人とも何か作るの?」
ひょこっと夏苗が遊びに来た。
…だけじゃなく、由くんも?
「クッキーに蒸しパン…って、栗は使わないの?」
「栗きんとんが難しそうで、諦めようかなーって」
「栗…あ、マロングラッセ、とか」
「…まろんぐらっせ…?
はっ、もしかして甘いやつ!」
「お菓子はだいたい甘いでしょ。
砂糖で煮たお菓子だったと思うけど…。
カップケーキとかにしたら?」
「カップケーキ…いいかも!
あ、ついでだし2人も一緒にやる?」
「やるやる!
オレとりあえず手洗ってきまーす♪」
「じゃあ、俺も。
言い出したのは俺だし、マロングラッセ作るかな」
「はーい、じゃあボクたちはクッキーと蒸しパンを手分けして作ろっか」
「ひー、どっちやりたい?」
「…うーん、クッキー…かな?」
「了解。
じゃ、夏苗たちが来る前にさつまいもの準備だけしよう」
「了解!」
とりあえず、とさつまいもを2人で洗って皮を剥く。
…蒸しパンの方は皮付きでも美味しいかも?
「あ、しーくん、蒸しパンのさつまいもは皮付きにする?
さつまいもの蒸しパン!って感じがするし!」
「…あ、そうだね。
じゃあこっちだけ残して…」
皮剥き作業をすること、数分。
再び共有ルームの扉が開く音がして、夏苗達が帰って来た…けど、なんか人が増えてる…?
「ただいまー、晴さんいたから連れて来ちゃいました!」
「連れて来ちゃいました!
2人とも、お菓子作り?」
「さつまいもと栗をもらったので、ボクたちはさつまいもチームでーす」
「夏苗たちが栗のお菓子担当で」
「なるほどなるほど…。
じゃあ、ボクは大変な方手伝おっかな?
まろんぐらっせ…マロングラッセ…?
由君たち…?」
「結構調べたら簡単そうだったんですけど、晴さんこっちのチームに来ます?
実質1人ですし」
「オレだって出来ることあるよ?!」
「…例えば?」
「…た、例えば…。
煮てる栗を見る、とか…?」
「じゃあ、夏苗は栗を見るのと片付け担当で」
「頑張りまーす」
「晴さんは…」
「(わくわく)」
「料理、って言うかお菓子作り、出来ます?」
「やったことあるのはクッキーとかカップケーキ作りくらいかな?
でも気合いは誰よりもあります!」
「じゃあ、とりあえず栗の皮一緒に剥いてください。
ちょっと大変なので」
「了解!」
こうして、由くん&晴さんの栗チーム、ボクとしーくんのお芋チームに別れたけど、そわそわしてる人が1人。
「…由くん、しきくんオレどうすればいい?」
「座ってて」
「……はーい……」
2人同時に言われてしょぼーんと座りに行く夏苗くん。
…後で、クッキー絞るの手伝ってもらおうかな?
「…蒸しパン用のさつまいもの準備はこれで大丈夫。
ひーの方は?」
「ボクの方もバッチリ!
あとは生地を混ぜて…はっ、夏苗くん出番!」
レシピを見て、工程を思い出したところで夏苗くんを呼ぶ。
マッシャーでさつまいもを潰すのは出来ると思うんだよね。
「はーい、何すれば良い?」
そわそわ…を、通り越して幻のしっぽをぶんぶん振ってる夏苗。
これは相当仲間に入りたかったな?なんて。
「電子レンジで加熱したお芋をこれで潰してほしいんだけど、出来そう?」
「!
多分!
えーっと、マッシャーって言うんだっけ」
「うん、そうみたい」
「よーし、じゃあいくぞマッシャー!
気合を入れて〜…」
楽しそうにお芋をなめらかに潰してくれてる夏苗をにこにこ見ながら、ボクはバターや砂糖の準備をする。
…この後の混ぜるところも夏苗くん出来るかな?
「終わったよー」
「ありがとう〜。
じゃあ、バターと砂糖入れて〜…」
なんとなく、言いながら夏苗くんの持つボウルに材料を入れていく。
…うん、多分これは出来る、はず…!
「これを混ぜるっと…。
オレがやって良いの?」
「もちろ…、もちろん!
一応、飛び散ったりしないように気をつけてね」
「はーい」
楽しそうに鼻歌を歌いつつボウルの中身をかき混ぜる夏苗。
…今のところ、飛び散ってはないし、結構出来るのかも?
と、思った時。
「あ」
ベチャッ
「…あ」
思いっきり混ぜた中身がボウルを越えて机に着地する。
…まあ、ちょっとくらいなら予想して…。
ベチャ
「……えーっと、とりあえず夏苗くんボウルと泡立て器置いて」
「…はい…」
しょぼん、どころかしょんぼりしながら手を止めて距離を取る夏苗くん。
…まあ、うん、ここからはボクがやろうかな。
「もうちょっとしたら、多分夏苗くんでも出来るところが来るから…!
えーっと、ちょっと座って見ててね?」
「…はーい……」
とぼとぼを歩いてさっきのところへ戻る夏苗くん。
さっきと違ってとても寂しそうな背中を見てやっぱり隣で見てて、と言いたくなるのを必死で抑える。
…もうこれ以上溢れちゃうとクッキーになる分がかなり減っちゃうし…。
「夏苗に混ぜるのは早いでしょ」
「…そうだったね…」
「でも、絞るのくらいは出来ると思うけど」
「…そうだね、しーくん!
待っててね夏苗くん…もうちょっとだから…!」
隣で蒸しパンの生地を作ってるしーくんと話をしつつ作業の続きをする。
えっと、次はこれを濾して……。
てきぱきと作業を進めて、いよいよ絞り袋に入れるところ。
溢さないように気をつけて、ゆっくり入れていく。
「…これ、夏苗くんじゃなくても緊張するかも」
「袋にうまく入れるのは大変だからね」
「しーくんもやってみる?」
「僕はこっちがまだ残ってるから」
「じゃあ、また一緒に作ろうね♪」
「…うん」
同じように生地を型に入れていたしーくんの方をちょっと見ながら袋に生地を入れ終えた。
…これを、絞るんだけど。
ちらっと夏苗くんを見る。
と、こちらを見ていたらしく目が合って、ちょこちょこと近づいて来た。
「…えーっと」
これ、オレでも出来る?と言いたげな目が言葉の続きを語っている。
でも、また溢しちゃったら、なんて言葉も聞こえてくるようで。
どうしようか、なんて悩みは一瞬でなくなった。
「夏苗くん、一緒に美味しいクッキー作ろう!」
「…!
うん!」
今度は耳まで見えたわんこの夏苗くんと並んで天板の前に立つ。
絞り袋に口金を入れてあるから、もう絞るだけ。
…まずはボクがちょこっと絞ってみる。
にゅっ…
「…!」
「ちゃんと形になってる…!」
「ちょっと、可愛いかも」
「次オレ!
やります!」
「はい、どうぞ♪」
「えーっと、こうして、こう…!」
にゅ、にゅん
「…!!
ちょっと伸びたけど多分、出来た…!」
「ちょっと生き物っぽくて可愛いね」
「次やったらもっと上手く出来る気がする……」
「あはは、好きなだけ絞っていいよ?」
「ありがとうひかるくん!
最後には綺麗な形にする…!」
にゅっ…
「…!
もう、ちょっとお手本っぽいよ夏苗くん!」
「ほんと?
じゃあ次ひかるくん!」
「じゃあボクも頑張っちゃおうかな〜」
にゅ〜…っ
「ちょっとバラっぽい…!」
「あ、これ頑張ればハートっぽい形にもなるかも…?」
「ハートも可愛いよね!」
「可愛いね〜。
どんどん作ろう♪」
…と、夏苗くんと生地がなくなるまで絞った結果、結構な数のクッキーが出来そうだった。
「これとこれは上手く出来たからしきくんにあげる分〜♪」
「…僕、ひーが作ったので」
「オレのも味は同じだし愛はものすごくたくさんこもってるからね?」
「…愛8割っぽいからちょっと」
「じゃあ5割にするから…!」
「3割」
「よし!」
「…ちなみにひかるのは?」
「もちろん愛200%!」
「ひーの愛はどれだけこもってても良いんだよ」
「しーくん…!」
「…こうなったらもうオレの特大の愛を込めたクッキーは由くんに渡すしか……」
「いやいらないけど」
「そんな…!!」
「って、まず俺の方はまだマロングラッセ作り中だし」
「あ、そういえばマロングラッセをカップケーキにするんだっけ」
「そう、なんだけど、織、生地まだある?」
「カップケーキ分くらいなら」
「じゃあ、それ使おうかな。
…って夏苗、まだマロングラッセが出来たところだからつまみ食い禁止」
「つやっつやの栗が美味しそうでつい…!
でも甘くて美味しい!」
「これがカップケーキになったら美味しそうだよね♪」
「ちゃっかりひかるまで食べてるよね」
「これ、細かく刻んで入れるの?」
「あー…そうしようかな、って。
でもごろっとしてるのも美味しそうで」
「よし、じゃあ半々で作ろう!」
「賛成!」
「しーくんの蒸しパンはあと蒸すだけ?」
「うん。
生地は出来てるから」
「じゃあ、みんなでカップケーキの生地作って一気に作っちゃおう〜♪」
「おー!」
「あ、ちなみに夏苗は混ぜる作業以外で…」
「それはもう分かってるって…!
…ってあれ、オレ粉入れるのとか卵割るのも苦手そうなんだけど…」
と、夏苗が言った瞬間。
2人重なった「座って待ってて」の言葉にまた戻っていく夏苗なのであった。
焼く前に型を並べる、とかなら…多分…。
そんなこんなで、マロングラッセを入れた生地を3人で作って。
夏苗がしっかり並べてくれた型にそれを入れて。
170℃のオーブンで焼く。
「はー、これでカップケーキはあと待つだけ、っと…!」
「あ、夏苗仕事あるよ」
「はーい、洗い物しまーす…」
ちょっとしょもっとしながら洗い物をしてくれる夏苗。
まあ、そう言いながらみんなでちょこちょこ手伝ったから夏苗も笑顔になったけど。
…そんな風に時間を過ごしていると、カップケーキの焼ける甘い匂いがして来た。
「…!
そろそろかな?」
「あ、じゃあクッキーも準備して、っと…」
「蒸しパンももう良いかな」
各々が担当しているお菓子の様子を見つつ、カップケーキの出来上がりを待つ。
「…そういえば、このカップケーキ結構数出来たよね」
「美味しいお裾分けのお礼にAquICE寮のみんなにも配……はっ、ここで秋のスイーツ祭り開いちゃう?」
ちらっとみんなを見つつ言う。
…仕事の人もいるだろうし、来れる人には来てもらって、あとはお土産になるだろうけど。
こんなに美味しそうなお菓子が出来て、ボクたちだけなんてもったいない!
「聞いてみようか」
「あ、ボクもうみんなにLEENEしてあるんだけど…」
ぴょこっとみんなの間から出て言う晴さん。
…ちなみに、栗の皮を剥いた後は材料の用意や片付けをしてくれてたのであんまりお菓子作り本番にはいなかったり。
…ここの机、結構高さが高いってことを晴さんのおかげで気づいたんだよね。
「さすが晴さん…!
ちなみにどこに…?」
「えーっと、ちょっと前にAquICE+マネージャー✨に招待されてたからそこで!」
「そのネーミングセンス、考えたの陽っぽい」
「あ、発案はそうだったって」
「…やっぱり…。
浅葱さんあたりが即決定でつけてそう」
「さすが織君、その通りだそうでーす」
「…グループ名考える時にICEしかいなかったの?」
「それが、いたのが陽君、春君、天君と雪月君、浅葱君だったみたいで」
「天と雪月、春ならそれは決まるね」
「ちょっと前とかだったら雪月くんは止め…てた、ような気がするけど、最近はそういうのどんどんやってこう!タイプだから…」
「吹っ切れた?」
「多分?
まあでも、分かりやすくていいよね」
「って、話してたら返信が…!
えーっと、AquICE寮のおやつ係がこっちに来るそうでーす」
「…竜さん」
「だね〜…。
あとはお兄さんズのみんなとか、天くんとか?」
「もしかしたら祐那さんもいたり…」
「最近、メンバーが増え続けてるから誰がいるのか分からないけど、大人数なんだろうね」
「…いっそ、出来たのをAquICE寮へ運べば良かった…?」
「はっ、その手が…!」
「話してる間に蒸しパンとクッキーも良い感じに出来たしね〜…持って行っちゃう?」
ピンポーン
「あ」
「ボク、出て来まーす」
元気よく玄関へ向かう晴さん。
その姿はぴょこぴょこしていてちょっと兎っぽいかもしれない。
数分して、ガチャ、と開いた扉から予想していた人たちが顔を出す。
「お邪魔しまーす、良い香り!」
「…カップケーキと蒸しパン、…クッキー…?」
「いやなんで竜は匂いで全部分かるの…?」
「お邪魔します」
「わあ、クッキー美味しそうですね…!」
「いらっしゃい」
「来てもらってすぐでちょっと申し訳ないんだけど、このままAquICE寮に運ぶの手伝ってもらっても良いかな?」
「もちろん!」
「とりあえず、竜がつまみ食いしないように見張ってまーす」
「よろしく」
来てくれた竜、天くん、空に奏さん、流衣くんがそれぞれ話しつつお菓子を持ってくれて。
「よし、じゃあAquICE寮に出発!」
「…あ、ひかるくん」
「?」
「このマロングラッセ、もし余ってたらちょっともらっても良い?
AquICE寮の方でもちょっと何か作ってみたくて」
「あ、作ったのは由くんだからちょっと聞いてみるね!」
「ありがとう」
「由くん、マロングラッセ余ったやつまだ使う?」
「もう使わないけど、そのまま食べる?」
「いや、流衣くんたちが向こうで何かに使えるかもって」
「ああ、じゃあ持ってってもらって…。
ついでにさつまいももちょっと持ってってもらう?」
「そうだね、AquICE寮の方が人数いて食べると思うし…」
「了解」
なんて、会話の後。
お芋とマロングラッセを持ってAquICE寮へ。
ピンポン、と鳴らす間もなくAquICE寮の共有ルームに行ってお菓子たちを置く。
「じゃあ、お茶を淹れて…。
秋のスイーツ祭り、開始〜♪」
fin.
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